去る10月28日、その日の一週間前に日本を縦断した台風21号に続いて台風22号が接近しつつある中、まだ雨を降りだしてなかったので「今しかない」と好きな美術館巡りを一挙に5つ巡って来た。
08時15分 拙宅発→一般道48km
80分→
09時30分 浜松市秋野不矩美術館『浜松市美術館コレクションー近現代日本絵画の道筋―【後期】』展
先週見損ねたので根性(笑)で見て来たが、矢張り見に来た甲斐があった
【後期】展々示作品のうち気に入ったmasterpiecesを幾つかあげると浅井忠『ばら』/ 藤島武二『猫』/ 川合玉堂『富士』
南薫造『戎克(ジャンク)』/ 山口華楊『山兎』/ 橋本関雪『山水図』
伊東深水『老松図』/ 野島青茲『山村遠望』/ 曾宮一念『阿曽風景』
和田英作『カアネイション』/水野以文『池の木』
三岸節子『ブルゴーニュの一本の木』
秋野不矩『テラコッタの寺院』(本作品は【前期】【後期】共に出品) etc.
[01]浜松市秋野不矩美術館入口の看板前にて
[02]浜松市秋野不矩美術館前にて
【小生comment】
浜松市美術館のcollectionはなかなか素晴らしい作品があるな、と感心した。【前期】【後期】のいずれの展覧会も良かったが、【後期】展の方がよりいい作品が多かった様に思う。
こんなに素晴らしい作品を JAF card を見せれば2割引きの240円で見られるのは嬉しい。
10時05分 同所発→一般道20㎞ 40分→
10時45分 平野美術館『梅原幸雄』展
次に訪れたのは、秋野不矩美術館から南南西へ20㎞、浜松城から北東へ700m程の所にある平野美術館だ。
本企画展は、来春3月に東京藝術大学日本画科を定年退官となる梅原幸雄(うめはら ゆきお (1950- ))氏の退官記念企画展。氏は、三重県生南伊勢町まれ / 1978年 東京藝術大学日本画科卒
1980年
再興第65回院展:『微風』初入選 / 同大学院修士課程修了
1983年
同大学院博士課程単位習得退学1992年 再興第77回院展:『神灯につつまれて』大賞受賞
1993年 同78回院展:『線香花火』大賞受賞 / 10月26日 日本美術院 同人 推挙
1997~2004年 同大学美術学部助教授 / 2005年~ 同教授(現職)
[03]平野美術館入口にて
[04]本企画展leaflet
[05]梅原幸雄『水色の時』1993年
[06]同『線香花火』1993年
[07]同『祈りの道』2006年
[08]同『京の舞妓』2010年
[09]同『漫(すず)ろ』2010年
[10]同『ときめきの刻』2012年
[11]同『錦鯉』2013年
【小生comment】
Reality ある美しさが特徴の美人画が特にいい。氏の退官記念展は、来年01月06(土)~18(木) 母校東京藝術大学美術館陳列館にて開催される。
日程が合えば、この退官記念展も訪ねてみたいと思っている。
11時10分 同所発→浜松西IC→東名高速66㎞ 60分→岡崎IC→
12時10分 岡崎市美術博物館『Wales 国立美術館蔵/Turner から Monet へ』展
英国Wales国立美術館は、1907年に設立。
英国の絵画の他、Millet や印象派 Monet、Pissarro 等、19~20世紀初の 仏美術の collection が高い評価を受けている。
[12]岡崎市美術博物館入口にて
[13]本企画展leaflet /絵は右上:Turner『難破後の朝』1840年頃・右下:Monet『サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏』1908年
[14]Turner(1775-1851)『Margate Jetty(m-ゲイト桟橋)』1835年頃
[15]John
Constable(1776-1837)『Cottage
in a Cornfield(麦畑の農家)』1817年
[16]Eugene Isabey(ウジェーヌ・イザベイ(1803-86))『The Norman Port(ノルマンディーの港)』制作年不詳
[17]Eugene
Boudin(1824-98)『Bordeaux(ボルドー)』1875年
[18]Whistler(ホイッスラー(1834-1903))『Nocturne Blue & Gold, St. Mark's, Venice』1880年
[19]Lawrence
Alma-Tadema(アルマ=タデマ(1836-1912))『Proze(散文)』1879年
[20]James Tissot( ティソ(1836-1902))『The Parting(別離)』1872年
[21]Walter Follen
Bishop(1856-1936)『Where
Oak & Birch tree grow(楢と白樺の生長)』1902年
[22]Frederick William Frohawk(フロホーク)(1861-1946)『A Sunflower』1881年
[23]Camille
Pissarro(1830-1903)『Pont
Neuf, Snow Effect, 2nd Series(ポン=ヌフ、雪景色)』1902年
[24]Edouard
Manet(1832-83)『Effect of
Snow at Petit Montrouge(プチ=モンルージュ、雪景色)』1870年
[25]Stanislas-Victor-Edmund
Lepine(エドマン・レピーヌ(1835-92))『Montmartre(モンマルトル)』制作年不詳
[26]Alfred
Sisley(1839-99)『Moret-sur-Loing(Rue
des Fosses)(モレ=シュル=ロワン(フォセ通り))』1892年
[27]Claude
Monet(1840-1926)『Palasso
Dario』1908年
[28]John Singer Sargent(1856-1925)『Hercules Brabazon Brabazon(ハーキュリーズ・ブラバゾン・ブラバゾン)』1900年
[29]Henry Moret(アンリ・モレ(1856-1913))『Village in Clohars(クロアールの村)』1898年
[30]John Lavery((レイヴァリー)1856-1941)『The Letter』1908年頃
[31]Maurice de
Vlaminck(1876-1958)『Village
Street』1911-12年
【小生comment】
英国ロマン派の代表的画家 Turner の作品に加えて、France 絵画が数多く見られたのは得した感じがした。いつ何処で見ても「名作はいい!」。
大満足の展覧会であった。
12時55分 同所発→一般道
32㎞ 35分 + 昼食休憩45分→
14時10分 豊川市桜ヶ丘ミュージアム『追悼/大森運夫』展
本展は、昨(2016)年09月29日に99歳で逝去された豊川市(旧・八名郡三上村)出身の日本画家 大森運夫(1917-2016)の没後1周年を記念した企画展。
氏は、当初教員を20年近く豊川市と豊橋市の教諭を務めた。
昭和22年 豊川南部中学校 国語教諭
昭和29年 豊橋市立新川小学校へ転勤昭和30年 豊橋市立中部中学校へ転勤(~昭和36年退職)
昭和36年に画業に専念する
昭和37年 神奈川県の中村正義宅地内へ転居
[32]豊川市桜ヶ丘ミュージアム入口にて
[33]本企画展『大森運夫』展と次回企画展『中村正義』展leaflet
[34]大森運夫『信濃』1960年
[35]同『立ち話』1963年
[36]同『外房九十九里』1966年頃
[37]同『雪の劇場(黒森歌舞伎)』1969年
[38]同『地鳴りll』1971年
[39]同『阿波浄瑠璃人形』1990年
[40]同『残照』1995年
[41]同『あしたを見つめて』1998年
[42]同『晩鐘』2006年
[43]同『羊飼いの男』2006年
【小生comment】
氏は、昭和25年 豊橋市出身の日本画家 中村正義(1924-77)と交流を開始。中村正義から強い影響を受けた氏は日本画家の道を本格的に歩み出す。
画風は、初期(1960年代)の労働者を描いた暗いものから、1966年の渡欧後の画風の礎となった「ロマネスク」調の絵を描く。
その後、「おばこ(少女・娘)」や「浄瑠璃人形」を描いた清々しい作品迄、一貫して太い黒い縁取りが特徴の日本画を描き続けた。
氏の作品は、一度見たら強い印象が残るなかなかいい日本画家である。
この豊川市桜ヶ丘ミュージアムには、大森運夫氏の作品が数多く所蔵されている。
14時50分 同所発→一般道
9km 20分→
15時10分 豊橋市美術博物館『ニッポンの写実/そっくりの魔力』展
本企画展は、「そっくり」に焦点を当て、大正realismの岸田劉生・椿貞雄から現代の迫真的写実絵画の野田弘志、礒江毅、諏訪敦、Super realismの上田薫らの作品約80点を展示。
[44]豊橋市美術博物館前にて
[45]本企画展leaflet / 絵(右上)は 上田薫『スプーンのゼリーB』1974年
[46]岸田劉生(1891-1929)『卓上林檎葡萄之図』1918年
[47]椿貞雄(1896-1957)『夏蜜柑図』1941年
[48]野田弘志(1936- )『やませみ』1971年
[49]佐藤雅晴(1973- )『1×1=1』2015年
[50]星野眞吾(1923-97)『卓上の一輪』1983年
[51]上田薫『玉子にスプーンA』1986年
【小生comment】
写真とは違う「『写実』絵画とはいったい何だろう?」と、改めて考えさせられた。小生、来週10日(金)に千葉市にある写実絵画の細密画を専門に蒐集・展示している『ホキ美術館』に行く予定でいるので、本企画展作品と比べてみたいと思っている。
15時50分 同所発→一般道10分→
16時00分 帰宅〔了〕
【後記】今日のお別れは、戦国時代の陸奥の覇者伊達政宗(1567-1636)が老境に到り青年時代を回顧して詠んだ名詩「馬上少年過ぐ」をお届けしてお別れする。
我々も今年62歳。この年には、武田信玄・上杉謙信・織田信長・豊臣秀吉は既に亡く、伊達政宗もあと余命7年と言う歳だ。現代は長寿が当たり前の時代になったが、少しでも充実した毎日を過ごして行きたいものである。
馬上少年過
世平白髪多残躯天所赦
不楽是如何
馬上少年過ぐ
世平らかにして白髪多し残躯天の赦す所
楽しまずして是を如何にせん
【意】戦場の馬上にあった青春時代は遠く過ぎ去った
今や天下は泰平 / 髪の毛もすっかり白くなった
天は吾身を今日迄生き長らえさせ賜ふた
だから楽しまないでどうしよう
[52]伊達政宗像と「馬上少年過ぐ」
では、また‥〔了〕
*ブログへは【0626】号迄のback numberはURL:http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog←ここをclickして下さい
*
0 件のコメント:
コメントを投稿