■皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。今日も【時習26回3−7の会 0645】お送りします。
今日最初にお届けするのは、松尾芭蕉『野ざらし紀行』〔第9回〕【京都/鳴滝】についてである。
『野ざらし紀行』は、前々回《会報》03月10日付【時習26回3-7 0643】にて、松尾芭蕉『野ざらし紀行』〔第8回〕【奈良】をお届けして以来になる。
芭蕉は、貞享02(1685)年二月初旬から廿日(新暦03月05日~24日)にかけて奈良の東大寺二月堂にて「修二会」を拝した後、二月下旬(新暦03月25日~04月初旬)京都鳴滝の富商 三井秋風の山荘に逗留した。
早速御覧頂きたい。
※ 1684(貞享元)年 ※
【済】八月中旬(十一~廿日(新暦1684年9月20~29日頃))‥・江戸深川の草庵を門人千里(ちり(=苗村氏))を伴い、東海道を上方を目指して出立。
【済】八月二十日過ぎ(新暦09月30日過ぎ)‥・小夜中山を越える
【済】八月晦日(新暦10月08日(猶、八月は小の月につき晦日は29日) ‥・伊瀬外宮を参詣
【済】九月八日(新暦10月16日)‥・伊賀上野着、兄半左衛門宅に滞在
‥・千里の故郷、大和国竹内村千里宅を訪問、吉野山に登る
【済】九月下旬(新暦10月28日~11月06日)‥・今須・山中を経て大垣へ‥谷木因亭に泊す
【済】十月初旬~中旬(新暦11月07日~25日頃)‥・伊勢の多度権現、桑名本統寺を経て熱田へ
【済】十月下旬(新暦11月25日頃~12月06日)‥・名古屋へ赴く、その後再び熱田へ
【済】十二月廿五日(新暦1685年01月29日)‥・伊賀上野に帰り越年
※ 1685(貞享02)年 ※
【済】二月(初旬から中旬廿日迄(新暦03月05日~03月24日)) 伊賀より奈良へ、二月堂の行事を拝す
/ 東大寺二月堂の修ニ会:二月一日~十四日
【今回〔第9回〕:京都
鳴滝】二月下旬(廿一日~晦日(新暦03月25日~04月03日)) 京都鳴滝の三井秋風の山荘に遊ぶ
三月上旬(朔日~十日(新暦04月04日~13日) 伏見西岸寺に任口上人を訪ねる
三月中旬(十一日~廿日(新暦04月14日~23日)) 水口の駅で服部土芳に逢い数日滞在、のち名古屋へ向かい熱田の桐葉亭へ
四月四日(新暦05月06日) 鳴海の下郷知足を訪ねる
四月五日(新暦05月07日) 熱田へ戻る
四月九日(新暦05月11日) 再び鳴海へ赴く
四月十日(新暦05月12日) 鳴海を発ち、江戸へ向かう
四月下旬(廿一日~晦日(新暦05月23日~06月01日)) 木曾・甲斐を経て江戸へ帰着
《原文》
京にのぼりて、三井秋風(しょうふう)が鳴滝(なるたき)の山家(やまが)をとふ。
梅林
梅白し昨日や鶴を盗れし
樫の木の花にかまはぬ姿かな
《現代語訳》
京にのぼって、三井秋風(注1)の鳴滝の山荘を訪れた。
梅林
【意】立派な白梅ですなぁ / 北宋時代の詩人 林和靖の「梅と鶴を愛した故事」を思い出しましたが、鶴が居ませんなぁ
/ 昨日にでも(鶴は)盗まれて仕舞いましたかなぁ?
【季語】梅:春
【解説】中国北宋の隠士林和靖(りん わせい(林逋/967-1028))の故事(注)に基づき、三井秋風の風雅に遊ぶ姿を林和靖に見立てて詠んだ俳句
林和靖は西湖の孤山に隠棲し、梅を妻に、鶴を子として見て、一生独身を貫いた、いう故事を踏まえたもの
【意】樫の木が一本立っている / この庭には多くの美しい花々が咲いているが、そんな花々のことなど我関せずの凛々しい立ち姿は、この館主の様でもあることだ
【季語】花:春
【解説】この句は、三井秋風撰『吐綬鶏』(元禄03年)に「秋風の山家にまかりて」と【前書き】して収められている
「樫の木」のどっしりした姿を、時流に踊らされず閑居する三井秋風に見立て讃えている
《語句》
(注1) 三井秋風(1646~1717):三井六右衛門時治(1646-1717)/京都の富豪/談林派俳人/仁和寺の西方、鳴滝(京都右京区)に山荘を持ち、其処には多くの文人が訪れた
越後屋呉服店を開いた三井高俊の3男重俊の子/呉服商の釘抜三井家当主
【小生comment】
「梅と鶴」と言ったら、北宋の風流人 林和靖と直ぐピンと来るのが当時の知識人。
芭蕉が生きていた時代、文学・風流の達人達は、古今東西の話を数多く知っていたことをこの十七文字の俳句は物語っている。
■続いての話題は、三連休の初日の03月18日(土)に上京して日帰り美術館巡りをしたお話からお届けする。
今回は横着して、Facebook
に up した実施報告をpasteした文言を引用し乍らご紹介する。
今日は観光日和として素晴らしい一日だった
大好きな絵画の企画展を、東京都内7つの美術館~具体的には「1 東京都美術館」「2 国立西洋美術館」「3 三菱一号館美術館」「4 森アーツセンターギャラリー」「5 新宿中村屋サロン美術館」「6 山種美術館」「7 パナソニック汐留ミュージアム」と見ることが出来た
こんな贅沢を出来るのは、平和国家で経済大国である『日本』に生まれたこそ出来る『幸運』だと確信している
その『平和大国 日本』の礎を築かれたご先祖様に心から感謝致したい
さて、今日の行程である
御高覧下さい
※ ※ ※ ※ ※
07:00 豊橋駅発
ひかり502号
08:40 東京駅着→〔山手線
上野駅へ〕→ 09:00 「東京都美術館」着〔09:30 開館時間迄入口前でwaiting〕
Ticketは今回「東京都美」「国立西洋美」「三菱一号館美」「森Art Center Gallery」の4館分の前売券を持参したのでsmoothに入館出来た
09:30 (1) 東京都美術館『ティツィアーノとヴェネツィア派』展→〔東京都美術館と同様、上野公園内にある世界遺産の「国立西洋美術館」へ徒歩3分〕→
10:00 (2) 国立西洋美術館『シャセリオー』展→〔上野駅→山手線→東京駅へ〕→〔丸の内南口から地上を徒歩5分〕→
10:40 (3) 三菱一号館美術館『オルセーのナビ派(les Nabis)』展→〔千代田線 二重橋駅 へ地上を徒歩5分→乃木坂へ〕
11:40千代田線
乃木坂駅から地下を徒歩3分の国立新美術館『ミュシャ』展(『草間彌生』展同時開催 )を見るべく立ち寄った
国立新美術館は、当初訪問予定先になかったが、時間に若干の余裕が出来たので
Facebook で岩瀬S君【3-4】が『ミュシャ』展を、織田(亀井)Mさん【3-2】が『草間彌生』展を、夫々見たことを comment していたことに触発されたからである
しかし、美術館入口近くのticket売場は長蛇の列で、係員に聞くと、ticket 購入に30-40分要すると聞き配管を断念
当初予定通りに 地上を国立新美術館から六本木ヒルズの森タワー迄徒歩10分程歩いた
森アーツセンターギャラリーは、森タワー52階にある
12:10 (4) 森アーツセンターギャラリー『大エルミタージュ美術館』展 →
〔地上を徒歩8分→大江戸線 六本木→都庁前(‥Platformを2番線へ移動‥)経由→新宿西口駅へ〕
〔大江戸線 新宿西口駅→地上を徒歩で東進、途中、牛丼の吉野家で昼食を簡単に摂り→新宿中村屋ビル(‥同ビル3階が新宿中村屋サロン美術館‥)へ〕
14:15 (5) 新宿中村屋サロン美術館『中村彝 生誕130周年記念~芸術家たちの絆』展→
〔JR新宿→山手線→恵比寿→北北東へ徒歩10分→広尾の山種美術館へ〕
15:20 (6) 山種美術館『日本画の教科書 東京編』展→〔徒歩でJR恵比寿駅→山手線→新橋→徒歩5分程で パナソニック東京汐留ビル(‥同ビル4階が美術館‥)へ〕
16:35 (7) パナソニック汐留ミュージアム『マチスとルオー』展〔徒歩→JR新橋→JR東京駅〕
18:33 東京発 ひかり527号
19:56 豊橋着
この03月18日に訪れた7つの美術館の企画展の模様は今回から7回seriesでお届けしたい。
■今日はその〔第1回〕最初の訪問地である東京都美術館『ティツィアーノとヴェネツィア派』展をご紹介する。
本企画展は、昨(2016)年が日伊修好条約=日伊国交樹立150周年で、その記念事業の締め括りとして本展が開催された。
本企画展では、ベッリーニ工房を中心に展開するヴェネツィア派の幕開けから、ティツィアーノ(Tiziano(1488/90-1576))の円熟期、そして、ティントレット(Tintoretto(1519-94))やヴェロネーゼ(Veronese(1528-88))をはじめとする巨匠たちの競合の時代という流れに従って、凡そ70点に及ぶ絵画・版画を紹介する。
Tiziano の『フローラ』や『ダナエ』といった傑作を通じて、Venezia 派の魅力を存分に堪能して頂ける機会となる。
〔以上、主催者の『ごあいさつ』から引用〕
[01]東京都美術館入口にて
[02]本展leaflet/ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『フローラ』1515年頃
[03]同上/同上『ダナエ』1544-46年頃
[04]同上
裏面
[05]Tiziano Vecellio『フローラ(Flora)』1515年頃
[06]Tiziano Vecellio『ダナエ(Danae)』1544-46年頃
[07]ヤコポ・ティントレット(Jaco Tintoretto(本名 Jacopo Bobusti))『レダと白鳥(Leda & the Swan)』1551-55年
[08]Tiziano Vecellio『教皇パウロ3世の肖像(Portrait
of Pope Paul lll)』1543年
[09]Tiziano Vecellio『マグダラのマリア(Mary Magdalen)』1567年
[10]ドメニコ・カンパニョーラ(帰属)(Attributed to Domenico Campagnola(1500-64))『男の肖像(Portrait of a Man)』1540年代
[11]パオロ・ヴェロネーゼ(Paolo Veronese(Paolo Acaliari))『聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者聖ヨハネ(The Holy Family with Saint Barbara & the Child Baptist)』1565年頃
【小生comment】
日帰りで7つの美術館を見るには、本展の持ち時間を30分と決めていたので、全ての作品をジックリ見ることは出来なかったが、悔いはなかった。
何となれば、展示作品の醍醐味=魅力の核心は、矢張り上記のTiziano、Tintoretto、Veroveseの3人の作品に収斂されたからだ。
更に言えば、この3人の作品の中でもTiziano の『Flora』と『Danae』は、本展leaflet のcoverの絵になった2作品は白眉である。
こんな名画を目の前、70~80cm という至近距離から拝見することが出来るなんて夢みたいだと心から感動した。
■続いての話題は、03月19日 中学校時代の同級生で 現在、folk singer として全国を行脚している富安秀行君の『Live in 豊橋 20170319』を聴いて来たのでその模様を簡単にご紹介する。
その日(03月19日(日))は三連休の中日。
夕方07時から豊橋市羽根井西町にあるイタリア料理店 Vicolo で、中学時代の同期 富安秀行君のライブコンサートを聴いた。
彼とは小生、同庚((どうこう)=おないどし)の朋友である。
昨(2016)年正月02日に還暦祝いの豊城中学校の学年同期会で会って以来だったが、最近、彼と
Facebook で親交を深め、今日のライブコンサートにも誘われ聴きに行ったという次第である。
彼は自ら「唄う行商人」と称しているが、彼の歌は、人肌の温もりを感じさせ、nostalgic な味のある絶妙な歌であり、感動の2時間を過ごすことが出来た。
[12]富安秀行 ライブ in 豊橋20170319
■続いての話題は、03月20日に愛知県芸術劇場concert hallにて開催された『上原彩子 Piano Solo/エリアフ・インバル指揮/ベルリン・コンツェルトハウスO.プラハ交響楽団演奏会』についてである。
ベルリン・コンツェルトハウスO.(Konzerthausorchester Berlin)は、1952年
ベルリン交響楽団として東Berlinに創設。首席指揮者 クルト・ザンデルリンク(1960-77)のもとで世界的な orchestra となった。
2006年に現在の名前に改称。猶、1966年 西ベルリン(当時)で設立された
ベルリン交響楽団(Berliner Symphoniker)とは別団体である。
Pianist の上原彩子(1980- )は、2002年6月にMoscowにて開催された第12回
Tchaikovsky 国際コンクールの Piano 部門に於いて、女性初、日本初の第1位受賞という快挙を成し遂げている。
エリアフ・インバル(Eliahu
Inbal(1936.02.16- )は、Israel出身の指揮者の巨匠。全曲録音でも有名なMahlerの交響曲は彼の最も得意なrepertory の1つ。今回の演奏曲目の第1番『巨人』は彼の十八番。
以下、演奏会当日の帰途中の電車内で Facebook に up した文を引用してご紹介する。
今日(03月20日)は、三連休最終日
今、豊橋へ帰る電車の中から Facebook に upしている
従前から、愛知県芸術劇場 concert hall での 上原彩子の Piano 独奏/エリアフ・インバル指揮/ベルリン・コンツェルトハウスO. の演奏会が 13:30 開演で予定されていた
この演奏会を聴くだけで名古屋へ行くのは勿体無いと思った小生、現在開催中の、名古屋ボストン美術館『広重/東海道五拾三次』展と古川美術館『田村能里子』展を演奏会の前後に組み入れて先程見聴きし終えて来た処である〔両美術館の模様は、次号以降の《会報》にて順次ご報告する予定である〕
エリアフ・インバル指揮/ベルリン・コンツェルトハウスO. の演奏会の演奏曲目は以下の2曲
Encore 曲は1曲もなかったが、Mainの 演奏曲目は2曲共に実に素晴らしい感動的な名演奏だった
1曲目のBeethoven / Piano Concerto No.5 in E
Flat-Major Op.73 " Emperor " は、上原彩子の piano が凄く力強く、聴衆は第1楽章から終曲の第3楽章迄一気呵成に名曲中の名曲の魅力に魅了された
2曲目の、Mahler / Symphony No.1 in D Major "
Titan( 巨人 ) " は、指揮者インバルの十八番の曲だけあって、これも第1楽章から第4楽章迄の50分間
聴衆を魅了し続けた
特に最終楽章の第4楽章は素晴らしかった
当該楽章の冒頭は静寂を破りシンバル(cymbals)の一撃で始まる
嵐の様なダイナミックな曲想が過ぎ行くと、暫し静謐な時が訪れ、曲調も単調から長調に転じて、天国的で夢想的な極めて美しい主題が登場する
小生は、此処の甘美な melody が、数あるclassic音楽のmelodyの中で最高に好きな曲の一つだ
その後、金管楽器によるファンファーレ(fanfare)風のモチーフ(motif)が五月雨の様に奏でられていく
フィナーレ(finale)では、作曲者Mahler がホルン(horn)奏者に起立しての演奏を指示し、圧倒的に勇壮な演奏でクライマックス(climax)を締め括る
ホント素晴らしい演奏で、最終楽章を聴いていたら、dopamine と endorphin がジワ~ッと同時に出て来る様な最高の感動を覚えた
さァ、明日から仕事も頑張るゾ~ッ
‥と、以上の様に Facebook に up した次第である。
[13]本演奏会終了後の愛知県芸術劇場コンサートホール入口
[16]1950-51年/Jerusalem youth orchestra で violin を弾くエリアフ・インバル(Eliahu Inbal)
【後記】今日は、締め括りに今朝訪れ撮影した 現在5分咲きの豊橋市桜ヶ丘ミュージアムにある薄墨桜と、拙宅の椿花と杏子花をご紹介してお別れする。
[17]豊川市桜ヶ丘ミュージアム 入口看板
[18]豊川市桜ヶ丘ミュージアムのうすず桜1
[19]同上2
[20]同上3
【前書】愈々春の到来だ
[21]拙宅の庭に咲いた色とりどりの椿花と杏花
拙宅も亡父が育てた椿花が満開になり、小生が植えた杏(あんず)も可憐な花を咲かせた
河東碧梧桐 (1873-1937)の名句を拝借引用して‥
赤い椿 白い椿と 咲きにけり 悟空
話変わって‥
杏の花と言えば、晩唐の詩人 杜牧 の『清明』が浮かぶ
清明 杜牧
清明時節雨紛紛 清明の時節 雨紛紛(あめ ふんぷん)
路上行人欲断魂 路上の行人(こうじん) 魂(こん)を断たんと欲す
借問酒家何處有 借問(しゃもん)す 酒家(しゅか)は何れの処にか有る
牧童遙指杏花村 牧童 遥かに指さす 杏花(きょうか)の村
【意】春の盛りの「清明」の時節 / 折から小糠(こぬか)雨がしきりに降っている
その雨は道行く旅人の私の心をすっかり滅入らして仕舞っている
(其処に丁度
遣って来た牧童に向かって) 私は尋ねた /「酒を売る店は、何処にあるのかな?」
すると牧童は指さした / (その先を見遣ると)遥か彼方には、淡い紅色をした杏の花咲く村が見える‥
では、また‥。〔了〕
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