2018年4月21日土曜日

【時習26回3-7の会 0701】~「松尾芭蕉『猿蓑集 巻之五〔第1回〕』」「04月14日:松坂屋美術館『第73回 春の院展』&桑山美術館『ザ・対決~比べて感じる日本画』展&メナード美術館『開館30周年/所蔵企画展~ひと~人・顔・姿』展を見て」「04月16日:浜松アクトシティ『マリア・ジョアン・ピリス Piano Recital』を聴いて」「04月17日:日帰り drive 旅行/〔河内長野市〕「観心寺/【国宝】如意輪観音坐像」→〔橿原市〕「大環濠集落『今井・寺内町』」→〔大和郡山市〕「郡山城跡」を巡って」

■時節は昨日0420日から『穀雨』。
 皆さん、お変わりありませんか? 今泉悟です。今日も【時習26回3-7の会 0701】号をお届けします。
 さて、今日最初の話題は、前回終了した『猿蓑』〔巻之四〕の後を受け,〔巻之五〕の〔第1回〕目をお届けする。
 因みに『猿蓑』は、半紙本「乾」「坤」二冊〔乾36丁/坤24丁〕から成る。
 第一冊目の「乾」巻は、巻一~巻四〔春の部→夏の部→秋の部→春の部〕迄の発句集で、その冒頭に江戸の高弟宝井其角(1661-1707)に拠る「序」を掲げる。
 第二冊目の「坤」巻は、巻五は連句集。「乾」の発句篇の部立と対応させて「冬〔初時雨〕→夏〔夏の月〕→秋〔きりぎりす〕→春〔梅若菜〕」を発句とした四歌仙。
 従って、夫々季節毎に18句の長句と短句が交互に詠まれる36句が4セットあり、全144句から成る。
 ただ、夫々の季節の中に他の季節の季語も色々と読み込まれている。
 だから、季節感が合わない句が少なからず登場する場面も少なくない。
 其処で、今回から「春→夏→秋→春」という『猿蓑』〔巻之五〕に掲載されている順に全144句を此の《会報》にて毎回4句ずつ36回に亘って紹介して行くこととする。
 従って、最終回は今年末頃になる予定である。
 では、〔第1回〕目の4句をご覧頂きたい‥

  猿蓑集 巻之五

01 (とび)の羽()も刷(かいつくろひ)ぬはつしぐれ  去来

【意】鳶の羽は、初時雨に濡れて羽づくろいした様にしっとりしている

【解説】「かいつくろいぬ」は、羽づくろいのこと/この句は、『猿蓑』〔巻之一〕巻頭の芭蕉の発句「初しぐれ猿も小蓑をほしげ也」に呼応させている

02 (ひと)ふき風(かぜ)の木()の葉()しづまる  芭蕉

【意】時雨と共に一陣の風が吹き、落葉がかさこそと音を立てて散った後静まり返った
【解説】—

03 股引(ももひき)の朝(あさ)からぬるゝ川(かわ)こえて  凡兆

【意】前夜降った初時雨で寒々とした川を一人の男が股引を濡らし乍ら歩いて渡って行く
【解説】—
 
04 たぬきをゝどす篠張(しのはり)の弓(ゆみ)  史邦

【意】此の川を渡る男は、作物を荒らす狸を脅す為の篠張りの弓を仕掛けに行くのだ
【解説】「篠張の弓」は、篠竹で仕掛けた弾弓(はじきゆみ)
 地上の篠竹を撓(たわ)めてとめて置き、獣が触れると弾(はじ)き打つ一種の罠/夜に仕掛けて置く

■続いての話題は、0414日に松坂屋美術館『第73回 春の院展』& 桑山美術館『ザ・対決~比べて感じる日本画』展 &メナード美術館『開館30周年/所蔵企画展~ひと~人・顔・姿』展を見て来た模様を以下の通りお伝えする。
 其の日は、月に一度の名古屋市東区の歯科医院での検診なので、ついでに松坂屋美術館、桑山美術館、メナード美術館を巡って来た訳である。

0845分 拙宅発→豊川IC〔→東名→伊勢湾岸→名古屋高速→(77 80)〕東別院→
0955分 エンゼルパーク南口着
1000分 松坂屋美術館 着

【松坂屋美術館『第73回 春の院展』】

[01]松坂屋美術館入口にて1

[02]同上2
                  
[03]本企画展leaflet & 図録 & ticket

leafletと図録の絵は、村上裕二【同人】『カミナリ富士』2018年〕

[04]田渕俊夫【同人】『明日香心象』2018
                  
[05]小田野尚之【同人】『轍(わだち)2018

[06]中村譲 【同人】『朝の潮風』2018
                  
[07]福王寺一彦【同人】『三日月』2018

[08]前原満夫【同人】『一隅を照らす』2018
                  
[09]那波多目功一【同人】『ふり初()めし刻(とき)2018

[10]井手康人【同人】『夢を運ぶ』2018
                  
[11]梅原幸雄【同人】『待花(まつはな)2018

[12]山浦めぐみ【奨励賞】『DIRETTO2018
                  

【小生comment
 院展に出品される【同人】の作品は、現代日本画の最先端を牽引する37人の俊英画家達の自信作。
 院展は、「春の院展」と秋に開催される「再興院展」が全国17箇所で毎年開催される。
 東海地区では、此の松坂屋美術館が会場となっていて、小生此処78年欠かさず見に行っている。
 ホント、素晴らしい日本画ばかりで足を運ぶ度に毎回「感動」と「ときめき」を覚える。

1045分 同所発→一般道〔5..3km 20分〕→昭和区山中
1110分 桑山美術館 着

【桑山美術館『ザ・対決~比べて感じる日本画』展】

[13]桑山美術館入口にて1

[14]同上2
                  
[15]本企画展leaflet

[16]鏑木清方 (1878-1972)『秋の錦』1948
                  
[17]上村松園 (1875-1949)『春風』1940年頃

[18]横山大観 大觀 (1868-1958)『霊峰春色』1943年頃
                  
[19]川端龍子(1885-1966)『花王図』1948年頃

[20]山口蓬春 (1893-1971)『洋梨』1959
                  
[21]伊東深水 (1898-1972)『積雪』制作年不詳

[22]橋本明治 (1904-1991)『寿の舞』1980
                  
[23]橋本関雪 (1883-1945)『崖上双猿図』1938年頃

[24]小倉遊亀 (1895-2000)『白い花』1988
                  
[25]入江波光 (1887-1948)『若竹と子雀』1945年頃

[26]福田平八郎 (1892-1974)『鮎』1955年頃
                  

【小生comment
 桑山美術館の所蔵品展だが、流石に珠玉の名品ばかりの29作品であった。
 ご覧の様に、美人画、風景画、静物画のいずれもが気品ある作品。
 美人画人気の3羽ガラスの鏑木清方・上村松園・伊東深水は言うに及ばず、橋本明治の『寿の舞』も素晴らしかった。
 霊峰富士の定番、横山大観。
 気品ある山口蓬春の『洋梨』や、猿絵の傑作と言えば橋本関雪『崖上双猿図』。
 小倉遊亀・入江波光・福田平八郎の3品は、今回の展示作品ではなかったが、素晴らしいpostcardだったのでupした。

1150分 桑山美術館 発→〔名古屋高速 20 40分〕→
1230分 メナード美術館 着



【メナード美術館『開館30周年記念/所蔵企画展~ひと~人・顔・姿』展】

[27]メナード美術館入口にて1

[28]同上2
                  
[29]大沼映夫(1933- )『顔・顔・顔』1977-78

[30]小磯良平 (1903-1988)『室内B1975
                  
[31]有元利夫(1946-1985)『二本の木の間』1978

[32]島田章三(1933-2016)『人と噴水』1996
                  
[33]本展leaflet/絵は 有元利夫『近ずいた朝』1979


【小生comment
 有元利夫『日本の木の間』『近ずいた朝』は今回初出品された。
 大沼・小磯・有元・島田の作品をupしたが、4人の画家が夫々originalityを発揮していて興味深かった。

1300分 メナード美術館 発→〔一般道 12 40分〕→
1340分 ラーメン陣屋着〔昼食〕
1415分 同所発→〔一般道 1.5km 6分〕
1425分 歯科医院着
1500分 同院発→名古屋IC〔東名 85km 85分〕→
1630分 帰宅

■続いての話題は、0416()夜、浜松アクトシティ・中ホールで開催されたマリア・ジョアン・ピリスの Piano Recital の模様についてである。
 其の日は、仕事が忙しかった。 会議が終わったのが1810分。

1835分 豊橋駅発→東海道新幹線→浜松駅→浜松アクトシティ 中ホールへ。
1900分 開演〜2055分 閉演。

 
 Maria Joao Pires(マリア・ジョアン・マリア・ピリス(1944- )) Piano Recital を聴いて来た。
 Ticketは完売だ。
 演奏曲目は以下の3曲とencore1曲。
  Mozart Piano Sonata #12 in F Major K. 332
  同 / 同 #13 in B Flat-Major K. 333
  Schubert 4 Impromptus D.935(Op,142)4つの即興曲〕
  Encore曲:Schubert 3つのピアノ曲から第2

[34]浜松アクトシティ・中ホール入口にて1                  
                  

[35]同上2

[36]Recital leaflet

                  
[37]Program & ピリスのCD
[38]Program
                  
[39]公演後に掲示されたencore曲案内の前にて


【小生comment
 いずれも高貴な香りが漂う名演奏だった。
 僕等が学生時代、女流の Mozart Pianist と言えば、リリー・クラウスとイングリット・ヘブラーだった。
 ピリスは、彼女達の次世代で活躍した。
 彼女の美貌と卓越した技量に感動した思い出がある。
 そして、彼女の来日公演は今回が最後だという‼
 彼女の生演奏を聴く最後の機会となるであろう此の貴重なひとときを同じ空間で過ごせた幸せを神様に感謝している。
 此処で拙歌を一首‥

  春宵にMozart Schubert 高貴に響くピリスのPiano! 悟空

■今日最後の話題は、0417()の日帰り drive旅行の話。
 其の日は、休暇を一日貰って、日帰りで drive 旅行をして来た。
 総走行距離は約560㎞であった。
 河内長野市にある「観心寺/【国宝】如意輪観音像」→橿原市今井町にある「大環濠集落『今井・寺内町』」→大和郡山市にある「郡山城跡」を巡って来た。
 以下、順次お伝えする。

0605分 拙宅発→豊川IC〔→東名→伊勢湾岸→東名阪→新名神→京滋バイパス→京奈→第二京阪→近畿自動車→ 240km 3時間45分〕藤井寺IC
0940分 観心寺着

【観心寺】

 高野山真言宗寺院である観心寺には、戦前は33年に1回、戦後は毎年417&18日のみ開帳する秘仏【国宝】如意輪観世音菩薩坐像がある。
 此の日が其の年に二日間ある秘仏開帳の第一日目で、小生、待望の尊像を生まれて初めて拝顔出来た!
 平安時代初期(西暦800年代)に存在した菩薩像だが、秘仏であった為、保存状態がよく現在に美しい彩色を残している。
 
[40]観心寺山門前にて
                  
[41]観心寺 金堂 前にて1

[42]同上2
                  
[43]観心寺 金堂 内陣〔如意輪観世音坐像が閉扉の状態〕

[44]【国宝】如意輪観世音坐像1
                  
[45]同上2

[46]同上3
                  
[47]同上4

[48]【重文】大随求菩薩画像
                  
[49]楠木正成首塚
 

【小生comment
 実に感動的なひとときだった。
 又、全ての事象にご利益があるという鎌倉時代作の【重文】大随求菩薩画像も拝顔できたことも嬉しい思い出となった。
 更にまた、観心寺には、楠木正成(1294?-1336)の首塚がある。
 湊川の合戦に敗れ自害して果てた楠木正成の首は京都の三条河原に晒されたが、敵将の足利尊氏が観心寺に届け、供養されたという。

1110分 観心寺発→〔一般道 32km 55分〕
1205分 橿原市「今井・寺内町」着

【今井・寺内町】

 戦国時代、「海の堺、陸の今井」と言われ栄えた大環濠集落の今井・寺内町を訪ねた。
 堺の豪商、今井宗久(1520-93)は此の街の出身という。
 此の街に入ったら、室町末期から江戸時代に time slip した感覚に陥った。
 伊藤園・伊右衛門CMや平成27年度後期のNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」のロケ地となったのが、此処「今井寺内町」の【重文】「米谷家」である。

[50]今井町案内看板前にて
                  
[51]旧高市郡教育博物館前にて

[52]【重文】高木家前にて
                  
[53]高木家案内看板

[54]高木家内部1
                  
[55]同上2

[56]今井町の風景をback
                  
[57]【重文】今西家

[58]今西家案内看板
                  
[59]環濠集落の入口の一つ「南門」前にて

[60]環濠集落の外堀の一部
                  
[61]今井町古地図

[62]今井町古地図を元に作成された模型
                  
 
【小生comment
  1時間の滞在の予定であったが、公開されている【重文】の家屋を一つひとつ見て行ったら、あっという間に3時間近くが過ぎ去った。
 でも一生モノのいい思い出となった。
 そして、感得した。「日本人に生まれて良かった」と!

【大和郡山城跡】

1500分 今井・寺内町発→〔一般道 21km 55分〕→
1600分 郡山城跡着
 
 此の城の歴史の概要は以下の通り。
 天正08(1580)年 筒井順慶が入城。
 同13(1585)年 豊臣秀長が本格的に整備。
 文禄04(1595)年 増田長盛に拠って外堀普請がなされ現在の形式に到る。
 慶長05(1600)年 関ヶ原合戦以後の15年は在番支配となる。
 元和元(1615)年 徳川幕府に拠って復興し、以後、水野→松平→本多といった譜代大名が城主を務める。
 享保09(1724)年 甲斐国甲府より柳沢吉保(1659-1714)の嫡男 柳沢吉里(1687-1745)151千石で入城し、以後明治維新迄柳沢氏が歴代藩主を務めた。

1640分 郡山城跡発→木津IC〔京奈→京滋バイパス→名神→新名神→東名阪→伊勢湾岸→東名 225km 2時間55分〕豊川IC
1955分 帰宅〔了〕

[63]郡山城天守台&柳澤神社へ向かうお堀傍にて

[64]郡山城天守台案内看板前にて
                  
[65]郡山城天守台前にて

[66]郡山城天守台にて1
                  
[67]同上2


【後記】0417日の日帰りdrive旅行は、一生モノの記念になる旅行だった。
 観心寺の【国宝】如意輪観世音菩薩坐像は、昔からずっと拝顔したかった仏像で、その願いが叶って嬉しさも一入(ひとしお)だった。
 小生、坐像を拝顔した時、初恋のひとに再会した様に「ときめき」を感じた。
 そして、今井・寺内町は、室町時代から江戸時代の旧き良き日本の街を眼前にして胸が熱くなるモノを感じた。
  【重文】の「高木家」「米谷家」「今西家」「豊田家」や、「称念寺」を巡っているうちに、日本人が歩んで来た歴史の厚みを実感した。
 環濠集落と言えば、2016424日付【時習26回3−7の会0597】にて、時習26回生同期の中嶋君【3-2】と谷山君【3-3】等と「041617日:城跡&史跡巡り~初日の行程の一つとして『富田林市寺内町/旧・杉山家』」を訪れたことをお伝えしている。
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 今回、今井・寺内町を訪れて、此の街が富田林市寺内町をscaleで大きく上回る素晴らしい歴史的財産であることが解った。

 では、また‥〔了〕

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