■皆さん、お変わりありませんか? 今泉悟です。今日も【時習26回3−7の会 0861】号をお届けします。
. 今日最初の話題は、松尾芭蕉(1644-94)「俳諧七部集『あら野』から〔第79回/員外~第771句~780句〕」をご紹介する。
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. 亀洞(注1)
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771 遠浅(とほあさ)や浪にしめ(注2)さす蜊(あさり)とり
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【意】遠浅の海では、人々は遥か沖合い迄出てアサリを獲っている / その姿が恰も波間に標識を立てた様だ
【解説】《発句》《春》:蜊とり / 春の潮干狩りの風景
(注1)武井亀洞(たけい きどう(?-貞亨04(1687)年11月):尾張国名古屋の人
/『春の日』に初出 / 越智越人の弟子と云われる /『あら野』・『庭竈集』等に入句
(注2)しめ:標識
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【意】春季、風の凪いだ大潮で入船も暫く途絶えて酒が入荷しなくなり、此の里の酒が払底して仕舞った
【解説】《脇》《春》:はる / 前句の「遠浅・しめ」等から、沖合に現れるべき船舶を待望する心境を表現した
(注1)舟間:船の入港が途切れている時期のこと
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773 のどけしや早(はや)き泊(とまり)に荷(に)を解(とき)て 昌碧(注1)
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【意】船便に合わせて、日の高いうちから宿をとり、旅荷を解(ほど)いた長閑な春の日 / 聞けば酒もないとか、さて、どうやって時間を過ごそうか
【解説】《第三》《春》:のどけしや /
(注1)昌碧(しょうへき(生没年不詳)):尾張国名古屋の人 / 貞亨04(1687)年11月『笈の小文』の旅の折、蕉門に入る /『あら野』等に入句
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774 百足(むかで)の懼(おそ)る藥(くすり)たきけり 野水
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