2019年4月12日金曜日

【時習26回3-7の会 0752】~「松尾芭蕉:俳諧七部集『冬の日』から〔第8回〕」「03月31日:「『大学弓道部OB総会』に参加して」→『古川美術館:日本の巨匠展』→『名古屋三越:片岡球子版画展』→『らあめん 陣屋』→『刈谷市美術館:絵画を愉しむ~描かれた人びと展』→『刈谷市歴史博物館:水野勝成展』を巡って」「04月01日:拙宅の花木が奏でる春の風情」

■皆さん、お変わりありませんか? 今泉悟です。
 さて、今日も【時習26回3-7の会 0752】号をお届けします。
 先ず最初の話題は、松尾芭蕉「俳諧七部集」の第一集『冬の日』から〔第8回~73句~84句〕をお届けする。
 
  杖(つゑ)をひく事(こと)(わづか)に十歩(じつぽ)       

               杜國

73 つゝみかねて月(つき)とり落(おと)す霽(しぐれ)かな
 
【意】前書「杖をつき十歩と歩かないうちに」を踏まえて、俄かに曇り時雨が降ったかと思ったら、瞬時に晴れ上がりもう月の光が漏れ落ちて来た
【解説】発句 / 季語:時雨=冬 /「曳杖僅十歩」の様な五言の詩句が想像させる、漢文訓読風の前書 / 時雨の一瞬の様を擬人化して詠んだ
 
74  こほりふみ行(ゆく)(みづ)のいなずま  重五
 
【意】其の時雨の過ぎ去って行く速さは、湖を渡る冬の御神渡り(1)の如く早いことだ
【解説】脇 /季語:こほり=冬 /
(1) 冬の御神渡り:氷が膨張して裂け目が盛り上がって湖を渡っていく現象 /
 長野県の諏訪湖が有名 / 此処ではそれを「水の稲妻」と譬えた
 
75 歯朶(しだ)の葉()を初狩人(はつかりびと)の矢に負(おひ)て  野水
 
【意】旧冬の名残の氷の上を、新年となって初めての狩に出かける / 其の祝いとして、歯朶(しだ)の葉で編んだ注連(しめ)飾りを矢につけて
【解説】第三 /季語:歯朶の葉=春 /
 
76  北の御門(ごもん)をおしあけのはる  芭蕉
 
【意】其れは北の御門を押し開けて、新年初めての狩りに出かける一行だ
【解説】初表四 / 季語:あけのはる=春 / 前句の狩人の一行を身分ある武士団とした
 
77 馬糞(ばふん)(かく)あふぎ(1)に風の打(うち)かすみ  荷兮
 
【意】武士の一団が出て行った跡の門には馬糞が積もっている / 其れを春の日にのんびりと掻き出している /
【解説】初表五/ 季語:打かすみ=春 / 鋤簾で馬糞を除去した様を詠んで、前句の緊張感を一挙に解き放つ、俳諧の妙
(1)あふぎ:扇形をした鋤(すき) / 鋤簾(じょれん)(2)
(2)鋤簾:土砂・ゴミなどを搔き集める道具で、長い竹の先に箕()がついたもの
 
78  茶の湯者(ゆしゃ)(=)しむ野()べの蒲公英(たんぽぽ)  正平
 
【意】茶の湯を嗜む好事者が、野辺に可憐に咲く蒲公英(タンポポ)の花を愛でている /
【解説】初表六 / 季語:蒲公英=春 / 前句を農夫が肥料とする為に馬糞を集めている田園の風景と見立て、其れに対して風流を愉しむ茶人を詠んだか
 
79 らうたげ(1)に物(もの)よむ娘(むすめ)かしづきて(2)  重五
 
【意】(‥前句の茶人が大切に育てた‥)娘は、今や小首を傾け乍ら何か本を読み耽(ふけ)る迄成長した
【解説】初裏一 / 雑 / 恋=娘 / 前句の茶人の気位に相応しい娘を image して詠んだ
(1)らうたげ(=ろうたげ):可憐な様
(2)かしづきて:小首を傾けている様子
 
80  燈籠(とうろ)ふたつになさけくらぶる  杜國
 
【意】若い二人の男が前句の女性に夫々持参した盆提灯を捧げた /
 娘は、其の提灯に描かれてある絵を見比べ、二人の男の自分に対する恋心が深さを推し量ろうとしている
【解説】初裏二 / 季語:燈籠=秋 / 燈籠は盆に死者の為に飾る盆提灯のことで、提灯毎に様々な細工が施されている
 
81 つゆ萩のすまふ(1)(ちから)を撰(えら)ばれず  芭蕉
 
【意】萩の葉に降りた露 / 落ちそうで落ちない / 二人の男の情も拮抗していて、娘は悩まなくてはならない
【解説】初裏三 / 季語:つゆ萩=秋 / 萩の葉に降りた露が「萩の葉のたおやかさ」と「露の危うさ」の絶妙な均衡( balance )の上に降りている /
 前句の「なさけくらべ」の均衡と「萩の葉と露」の均衡を対比させた
(1)すまふ:(力が)拮抗している様をいう
 
82  蕎麦(そば)さへ青(あを)し滋賀楽(しがらき)(1)の坊(ばう)  野水
 
【意】萩葉上の露の美しさだけではなく、又、紫香楽茶の見事さは勿論だが、信楽の宿坊から見える蕎麦の青さも実に美しい
【解説】初裏四 / 季語:蕎麦=秋 / 前句を蕎麦畑の景観に読みかえた / 信楽の坊で饗応に預かったとして詠んだ /
(1)滋賀楽:茶の産地として当時有名であった / 葉茶壷の信楽焼の産地でもある /
 
83 朝月夜(あさづくよ)双六(すごろく)うちの旅ねして  杜國
 
【意】有明の月の下、信楽の宿坊から旅する双六の上手(じょうず(=プロ))が出発する
【解説】初裏五 / 季語:朝月夜=秋 / 双六うちとは「博打(ばくち)打ち」=「渡世人」のこと
 
84  紅花(べに)(かふ)みちにほとゝぎすきく  荷兮
 
【意】朝早く、紅花の仲買人が向かって行く道すがらホトトギスが鳴くのを聴いた
【解説】初裏六 / 季語:紅花・ほととぎす=夏 / 紅花は夏の早朝、露の乾かないうちに摘み取る /
 其の紅花を買い取る商人(=仲買人)も摘み取った直ぐに間に合わせるべく深夜に出発したとして詠んだ
 
【小生comment
 次回は『冬の日』の〔第9回〕85句~96句をお届けする。お楽しみに!
 
■続いての話題についてである。去る0331日、小生が4年間過ごした大学弓道部の年に一度のOB総会が大学学生会館にて開催されたので出席して、ついでに3つの美術館と1つの歴史博物館を巡って来た

0515分起床
0515分~0615分 腹筋2,000
0625分~0725 2.5kg木刀素振り60分間
0730分~0777分 入浴・朝食
0800分 拙宅発一般道音羽蒲郡IC→東名(960)→名古屋IC→一般道
0915分 名古屋市昭和区福原町3丁目駐車場へ
0929 N大学鏡が池口着
0938 N大学学生会館着
 
【名古屋大学弓道部OB総会】

[01]名古屋大学鏡ヶ池入口
 
[02]名古屋大学弓道部後輩と1
                  
[03]同上2

[04]大学弓道部OB総会開始前の会場1
                  
〔手前がOB/向こう側の道議姿の学生が手前が前幹部の(明月から)4年生と後方が同じく3年生の部員幹部たち〕

[05]同上2

[06]平成30年度 N大学弓道部OB総会 次第
                  

1015 N大学弓道部OB総会
 
 その席上、次期61代主将が発表した『目標』は、小生より43年後輩になるモノだが、簡潔であり乍らもなかなかの名文だった。
 
1130分 同会終了
 
[07]記念に豊田講堂前にて

[08]同じく名古屋大学法学部校舎()前にて
                  
[09]同上 同上入口にて


1145分 同所発徒歩7
1208分 古川美術館着
 
【古川美術館『日本の巨匠』展】

[10]古川美術館入口にて1
                  
[11]同上2

    此の[09]写真は timer で撮影しようとしたら丁度遣って来た館員が撮影してくれた

[12]東山魁夷『渚の白馬』1972(個人蔵)
                  
[13]安井曾太郎『静物』1942-43(個人蔵)

[14]安田靫彦『菖蒲』制作年不詳(古川美術館蔵)
                  
[15]和田英作『薔薇』1939(古川美術館蔵)

[16]藤田嗣治『人物』1927(個人蔵)
                  

1230分 古川美術館発徒歩地下鉄「池下」駅「栄」徒歩名古屋三越へ
1300分 名古屋三越7F
 
【名古屋三越『片岡球子』展】

[17]同上『ほとばしるエネルギー 片岡球子版画』展 leaflet

[18]名古屋三越 7F 美術画廊 ART FAIR 期末絵画市 leaflet()
                  
[19]同上()


1355分 同所発地下鉄「栄」駅「池下」
1411分 らあめん「陣屋」着
 
【らあめん「陣屋」】

[20]らあめん「陣屋」入口にて
                  
[21]小生のVSOP(Very Special One Pattern)「味噌チャーシュー麵」


1450分 同所発一般道
1600分 刈谷市美術館着
 
【刈谷市美術館『常設展第lV期 絵画を楽しむ/描かれた人びと』展】

[22]刈谷市美術館入口にて
                  
[23]同館内「常設展」corner 入口にて

[24]岸田劉生『Kの肖像(荘太郎)1913
                  
[25]佐分眞『憩える男』1930年頃

[26]鬼頭鍋三郎『舞姿』1981
                  
[27]三尾公三『蕩女』1977

[28]星野眞吾『黒い太陽は今』1996
                  

1610分 同所発一般道
1620分 刈谷市歴史博物館着
 
【刈谷市歴史博物館『初代刈谷藩主/水野勝成』展】

[29]刈谷市歴史博物館入口にて1

[30]同上2
                  

『常設展』

[31]山車1

[32]同上2
                  
[33]万灯1

[34]同上2
                  
[35]同上3


『企画展「水野勝成」展』
 
[36]本企画展leaflet
                  
[37]水野勝成像が cover する本企画展図録

[38]同上図録~「勝成の最期:『水野勝成・勝重連署』&『伝勝成 脇差』
                  

1645分 同所発一般道
1815分 帰宅〔了〕走行距離計 175km37]
 
【後記1
 0331日 拙宅にて
 孫たちには楽しい春休みだ。
 久し振りに拙宅に孫たち3人が集まった!
 
[39]孫たち3-1

[40]同上2
                  
[41]同上3


【後記2
 先日(3/27)お伝えした「海棠」の花が七分咲きになった。綺麗だ!
 此の美しい林檎科の花「海棠の花」を見ていると、先日ご紹介した「桃李の花」同様、春の美しさを実感できる!
 此の花を歌った中唐の伎女で女流詩人 薛濤((せっとう)768-831)の作品から「海棠渓(かいどうけい)」をご紹介したい。

  海棠渓  薛濤

 春教風景駐仙霞
 水面魚身総帯花
 人世不思霊卉異
 競将紅纈染軽沙

 春は風景をして 仙霞(せんか)を駐(とど)めしめ
 水面(みなも)の魚身(ぎょしん) (すべ)て花を帯()
 人世(じんせい)思わず 霊卉(れいき)の異()
 競って紅纈(こうけつ)を将()って 軽沙(けいさ)を染()

【意】春は、風と光の中に仙界の朝焼けとも見紛う程の鮮やかさを海棠の花が辺り一面漂わせている
 清流に泳ぐ魚が花模様を帯びたかの様に花影が水面に映っている
 世間では、この海棠の霊妙な業(わざ)に気がつかない儘
 競って河原の砂を赤い絞りで赤く染めようとしている
 
[42]拙宅の海棠の花の横にて1
                  
[43]同上2

[44]拙宅の海棠の花1
                  
[45]同上2

[46]同上3
                  

【後記3
 拙宅の「桃李の花」も「花桃」は満開、「李」は青い葉が出て来たがまだまだ綺麗だ。
 
[47]拙宅の花桃の花

[48]拙宅の李(スモモ)の花
                  

 拙宅に「杏(あんず)の花」も咲き出した!
 
[49]拙宅の杏子の花


 小生、以前より何回もご紹介させて頂いているが、清明の時節に咲く花「杏花」を見る度に、小糠雨が降る農村風景と共に、晩唐の詩人 杜牧(803-53)の名詩「清明」を思い出す。
 
   清明     杜牧
 清明時節雨紛紛
 路上行人欲断魂
 借問酒家何處有
 牧童遙指杏花村

 清明の時節  雨紛紛
 路上の行人 魂(こん)を断たんと欲す
 借問す  酒家は何れの処にか有る
 牧童遥かに指さす 杏花(きょうか)

【意】春の盛りの清明節だというのに、折からこぬか雨がしきりに降っている
 其の雨は道行く旅人である私の心をすっかり滅入らしてしまう
「すまんが、酒を売る店は何方にあるのかな?」と尋ねると
 牛飼いの子が「あっちの方だよ」と指さした其の彼方には白い杏の花咲く村が見える

「杏花」というと、一昨(2017)0409日に、時習26回生の同期 中嶋君【3-2】と今泉(谷山)君【3-3】らと訪れた千曲市にある「杏の里」を思い出す
 杏の花は、開花期間が 1週間と短いが、此れこそ此の世のモノとは思えない絶景の桃源郷の花である!

[50]0401 Facebook upした一昨(2017)0409日千曲市「あんずの里」で撮影した中嶋君と今泉(谷山君)との写真ほか                  
                   
【小生comment
 春の花々はホント絵になる!
 では、また‥〔了〕

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