さて、今日も【時習26回3-7の会 0741】号をお届けします。
今日最初にお届けするのは、『猿蓑』〔巻之六〕「幻住庵記(げんじゅうあんのき)」の末尾近くに「几右日記」と題され掲載されている発句全35句のうちの第21句~25句をご紹介する。
几右日記
麥の粉(注1)を土産す
21 一袋(ひとふくろ)これや鳥羽田(とはだ)のことし麥(むぎ) 之道(注2)
【意】前書で「幻住庵の翁へ麦の粉一袋を土産として持参」として一句
/
此の麦の粉は、鳥羽田で今年穫れた新麦です /【解説】鳥羽田は山城国の歌枕
(注1)麥の粉(こ・こな):麦粉(むぎこ) / 麦こがし / はったい / 香煎(こうせん)・麦香煎 / 麦焦(むぎこがし) /
大麦を煎って焦がし、臼で挽いて粉にしたもの / 此れに砂糖を混ぜ、水で練り食す /「季語」:夏
(注2)之道:槐本之道((え(の)もと しどう)(1659?-1708)) / 大阪蕉門の重鎮 / 薬種商 / 通称:伏見屋久右(左)衛門 / 別号:東湖・諷竹 /
1694(元禄07)年 発病から臨終迄、芭蕉を弟子の榎並舎羅らと共に世話をした
書音(しょいん)(注1)
22 一夏(いちげ)入(い)る山さばかりや旅ねずき 長崎魯町(注2)
【意】一夏(注3)を山に入るという山はきっと素晴らしい所でしょう / 旅寝のお好きなのですネ
【解説】因みに「夏の入り」は4月16日 / 以後90日間が「夏」
(注1)書音(しょいん):手紙の便りのこと
(注2)魯町(ろちょう(1656-1727)):江戸時代前期-中期の儒者で俳人 /
向井元升の三男 / 向井去来の弟 /長崎奉行に招聘され長崎聖堂の祭酒、書物改役 / 本草学・算学にも精通 /
肥前国長崎出身 / 字(あざな):叔明 / 通称:兼丸 / 号:魯町・鳳梧斎
(注3)一夏(いちげ):ひと夏のこと / 陰暦四月十六日から七月十五日迄の90日間、安居(あんご)(注4)して仏道修行をすることをいう
(注4)安居(あんご):夏の「季語」/ 僧侶が一定期間、遊行(ゆぎょう)に出ず一カ所に留まって修行すること / 雨安居(うあんご)・夏安居(げあんご)・夏行(げぎょう)・夏籠(げごもり)・夏断(げだち)などともいう /
禅宗では、冬にも安居がある
23 夕立(ゆふだち)や檜木(ひのき)の臭(かざ)(注1)の一(ひと)しきり 及肩(注2)
【意】夕立が通った後、幻住庵の周りの檜(ヒノキ)が発する匂いが伝わって来る【解説】―
(注1)臭(かざ):香(かざ):=匂い
(注2)及肩(きゅうけん(生没年不詳)):膳所「ひさご」連衆のひとり/及肩老と呼ばれ、芭蕉より年長の人物か
昇猿腰掛(注1)
24 穐風(あきかぜ)や田上山(たなかみやま)のくぼみより 尚白(注2)
24 穐風(あきかぜ)や田上山(たなかみやま)のくぼみより 尚白(注2)
【意】幻住庵の後方の山、田上山に登り、松の木に「猿の腰掛」と名付けた棚を作り座っていると、もう秋風が吹いて来た
【解説】「幻住庵記」に「猶、眺望くまなからむと、後の峯にのぼり、松の棚作、藁の円座を敷て、猿の腰掛と名付」とある
(注1)尚白:江左尚白(こうさ しょうはく(1650-1722) / 江戸時代前期-中期の俳人 /
近江国の医師 / 1685(貞享02)年 三上千那(せんな)と共に松尾芭蕉に入門 / 近江蕉門の古老 / 後年蕉門より離脱 /
本姓:塩川 / 字(あざな):三益 / 別号:木翁・斎など / 編著に孤松(ひとつまつ)
贈簔
25 しら露(つゆ)もまだあらみのゝ行衛(ゆくへ)哉(かな) 北枝(注1)【意】白露も経験なかったあの新しい菅蓑はいまは何処へ行ったのだろう?
【解説】此の句は、『幻住庵記』にある「木曽の桧傘、越の菅蓑ばかり、枕の上の柱にかけたり」の『越の菅蓑』を、1689(元禄02)年 北枝が『奥の細道』の途次金沢で芭蕉に贈ったもの /
「しら露もまだしらぬ新蓑(あらみの)を送りまいらせるなれど、此蓑の行衛は旅好の翁の背に負ひ身にまとひて、何所の果にか朽ぬらんと聞せる手にをは也としるべし」(猿蓑さがし)
【小生comment】
次回は、発句全35句のうちの第26句~30句をご紹介する。お楽しみに!
次回は、発句全35句のうちの第26句~30句をご紹介する。お楽しみに!
■続いての話題は、01月19日、車で「静岡近代美術館」「駿府城・坤櫓」「資生堂アートハウス」「掛川城」と巡って来たもようについてお伝えする。
今日は、静岡近代美術館、駿府城「坤櫓」、資生堂アートハウス、掛川城と巡って来た。
07時37分 自宅発→一般道120㎞ 2時間→
09時40分 静岡近代美術館指定駐車場着
10時00分 静岡近代美術館入館
【静岡近代美術館『梅原龍三郎・熊谷守一』展】
開館時間は10時30分~の為、30分間呈茶付で館内で開館を待った。
当美術館は、館長の大村明氏が自身ののcollection を集め、2016年10月27日 徳川15代将軍慶喜公の住まわれた、駿府城の西方数分の静岡市葵区西草深町に開設した。
藤島武二、岡田三郎助、和田英作、梅原龍三郎、安井曽太郎、中川一政、林武、小山敬三、萩須高徳、小磯良平等の文化勲章受章者をはじめ、熊谷守一、フジタ、佐伯祐三、コロー、ルノワール、マルケ、ユトリロ、シャガール、ヴラマンク、ビュッフェ等、国内外の著名画家の作品を一度に見ることが出来た。
今迄、静岡市美術館や静岡県立美術館には何度も足を運んだが、当美術館は今回初めて訪問した。
一覧して、国内外の近代著名画家の傑作を一挙に見ることが出来て感動した!
今日は、展示作品のうち、展示cornerの入口正面に和田英作『早春』と題する「富士山」が展示され拝観者を堂々と迎えてくれた。
「『珠玉の傑作選』とは此の美術館の本企画展のことを言うのだ」と痛く感動した。
当然、作品一つひとつを紹介する訳にはいかないので、風景画と共に沢山展示されていた静物画のうち著名画家の手に拠る『薔薇花』の傑作の数々を以下にご紹介する。
[01]同美術館入口前にて
[02]静岡近代美術館入口近くにて
[03]静岡近代美術館図録/絵は、安井曾太郎(1888-1955)『果実図』1937年
[04]和田英作(1874-1959)『早春』
1階の企画展corner入口に此の作品が展示されていた
傑作ばかりなので、結構沢山展示されていた「薔薇花」に題材を絞って以下ご紹介する。
[05]和田英作『ばら』1921年
[06]岡田三郎助(1869-1939)『薔薇』1927年
[07]藤島武二(1867-1943)『花』1933年
[08]熊谷守一(1880-1977)『薔薇』制作年不詳
[09]梅原龍三郎(1888-1986)『薔薇図』制作年不詳
[10]中川一政(1893-1991)『薔薇 ペルシャ壺』1967年
[11]林武(1896-1975)『薔薇』制作年不詳
[12]朝井閑右衛門(1901-83)『薔薇』制作年不詳
[13]小山敬三(1897-1987)『長春花』1972年
ホント、素晴らしい絵画ばかりだ!
[15]寺内萬治郎(1890-1964)『うずくまる裸婦』制作年不詳
[16]福本章(1932-2011)『朝の光(ベニス)』2007年
[17]Albert
Marquet(1875-1947)『セーヌ川』1916年
[18]Maurice de
Vlaminck(1876-1958)『道端の家』制作年不詳
【駿府城「坤櫓」】
[19]お堀越しに「坤櫓」前にて
[20]「坤櫓」1
[21]同上2
[22]「坤櫓」前にて1
[23]同上2
[24]同上3
[25]「坤櫓」前から「艮」方向に「富士山」を望む1
[26]同上2
[27]同上3
11時30分 同上駐車場発→一般道 50km 1時間45分(昼食休憩20分を含む)
12時40分「すき家1国掛川店」にて昼食(20分)
13時00分 すき家発→一般道→
【資生堂アートハウス『椿つれづれ』展】
[29]資生堂アートハウスをbackに
[30]資生堂アートハウス入口近くにて
[31]資生堂アートハウス 本企画展 leaflet
[32]横山大観(1868-1958)『鸜鵒(くよく)』1947年
[33]奥村土牛(1889-1990)『椿』1960年
[34]前田青邨(1885-1977)『椿』制作年不詳
[35]伊東深水(1898-1972))『ペルシャ壺と椿』1963年
[36]山口蓬春(1893-1971)『椿』1965年
[37]中川一政(1893-1991)『椿』1966年
[38]林武(1896-1975)『椿』1972年
[39]山本丘人(1900-86)『山樹ノ春』1974年
[40]上村松篁(192-2001)『花 椿』1987年
14時35分 掛川城駐車場着
14時39分 掛川城本丸着
【掛川城「天守閣」】
[41]掛川城天守閣をbackに1
[42]同上2
[43]同上3
[44]掛川城天守閣遠望1
[45]同上2
14時50分 掛川城駐車場発→一般道 72km 1時間30分→
【小生comment】
静岡近代近代美術館の名画は素晴らしかった。
そして、巨匠が書いた美しい薔薇図の傑作を見比べる贅沢を味わうことが出来て最高な気分だった。
又、資生堂アートハウスでの「椿」図の傑作の数々も気品にあふれて素晴らしかった。
ホント、名画は心を癒してくれる!
■今日最後の話題は、01月23日、仕事で上京した折、立ち寄った「上野の森美術館」「世田谷美術館分館・向井潤吉アトリエ館」の模様についてお伝えする。
今日は、仕事で東京大手町にある取引銀行2行に年始挨拶に行って来た。
写真は、2行目の建物29階からの眺め。
写真[47]の中程に写っている門が、大手町の名前の起こりとなった「大手門」である。
[47]同上2
[48]同上3
[49]同上4
13時25分 撮影(写真[50])
写真の朱色の monument は、1行目と2行目の建物の丁度中間にある。
[50]monumentの前にて
大手町から丸ノ内線で二つ目の御茶ノ水駅で降りた。
写真[51]に写っている真ん中の川が、南こうせつとかぐや姫の名曲で有名な 神田川!
其の神田川を渡っている線路は、地上に出た 丸ノ内線。
丸ノ内線の右隣がJR中央線、更に其の右が総武線!
13時40分 湯島聖堂に到着
御茶ノ水駅から北東に100mも行かない所に 湯島聖堂がある。
尊敬する孔子の 孔子像 を拝みお願い事をした。
湯島聖堂の直ぐ横が 昌平坂 である。
13時43分 撮影(写真[52])
[52]湯島聖堂前にて
[53]湯島聖堂入口
[54]湯島聖堂解説板
[55]昌平坂解説板
[56]現在の昌平坂
13時49分 神田神社(神田明神)に到着
湯島聖堂から、ほぼ北へ100mも行くと 神田明神 である。
小生、今年は、人生の新たな stage を迎える予感がするので、確りと願掛けした (^^;)!
[58]同上 参道にて
[59]同上 隨神門前にて
[60]同上 御神殿前にて
[61]同上 御由緒
神田明神から、JR秋葉原駅迄歩き、JR京浜東北線で上野駅へ。
14時14分 神田明神発→徒歩 800m 10分→
14時25分 JR秋葉原駅着→京浜東北線快速→JR上野駅へ
[62]JR秋葉原駅前にて
期待に違わなぬ名画を堪能出来て嬉しかった。
全世界に30数点しかない フェルメールの作品を一挙 9点見られることは本当に有難いことである。
[64]同上2
[65]ワイングラス(The Wine Glass)1661‐1662年頃‥15
[66]リュートを調弦する女(Woman with a
Lute)1662-1663年頃‥(重複)
[67]マルタとマリアの家のキリスト(Christ in the House of
Martha and Mary)1654-1655年頃‥16
[68]牛乳を注ぐ女(The Milkmaid)1658-1660年頃‥(重複)
[69]真珠の首飾りの女(Woman with a Pearl
Necklace)1662-1665年頃‥(重複)
[70]手紙を書く女(A Lady Writing)1665年頃‥(重複)
[71]手紙を書く婦人と召使い(Woman Writing a Letter,
with Her Maid)1670-1671年頃‥(重複)
[72]取り持ち女 1656年‥17
[73]赤い帽子の娘 1665-66年‥18
(注)制作年の後の数字は、小生が此れ迄に見たフェルメール作品の累計点数(‥(重複)は嘗て来日して小生が見ている作品‥)
従って、2019年1月23日現在、小生はフェルメールの絵画作品を累計18点見ている15時40分 上野の森美術館発→15:53上野→地下鉄銀座線→16:19表参道→地下鉄半蔵門線・東急電鉄中央林間線→
16時30分 東急電鉄 駒沢大学駅 西口→徒歩 700m 10分→
[74]東急田園都市線 駒沢大学駅 西口
16:40 世田谷美術館分館 向井潤吉 アトリエ館着
[75]向井潤吉 アトリエ館前にて1
[76]同上2
[77]同上3
[78]本企画展leaflet
[79]向井潤吉『田麦俣にて』1963年
[80]同『白川郷』1963年
[81]同『水辺の曲り家』1976年
[82]同『宿雪の峡』1983年
[83]同『海の見える梅林』1968年
[84]同『丹波下山の部落』1969年
[85]同『一隅の風景』1975年
[86]同『叢林秋日』1977年
ホント、素晴らしい!
今日も、とっても有意義な一日だった‼️
【後記】フェルメールの作品は、直近では、2015年12月12日に京都市美術館『フェルメールとレンブラント』展で、『水差しを持つ女』を見て以来である。
2015年12月25日付【時習26回3-7の会 0580】
http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/index.html ←此処をclickして下さい
其の前は‥
2015年3月14日 (土)【時習26回3-7の会0539】
02月21日:国立新美術館『ルーヴル美術館』展
『天文学者』‥1
2012年7月14日付【時習26回3-7の会 0402】
07月05日:東京都美術館『マウリッツハイス美術館 オランダ・フランドル絵画の至宝』展『真珠の耳飾りの少女』『真珠の首飾りの少女』‥2・3
http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/26-0402262012-p.html ←此処をclickして下さい
2011年7月23日付【時習26回3-7の 0351】
7月17日:京都市美術館『フェルメールからのlove letter』展
『手紙を読む青衣の女』『手紙を書く女』『手紙を書く女と召使い』‥4・5・6
http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/26-035107230717.html ←此処をclickして下さい
2011年06月24日付【時習26回3-7の会 0347】
06月19日:豊田市美術館「『フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画』展
『地理学者』‥7
http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/26-03470619-572.html ←此処をclickして下さい
2008年11月 08日付【時習26回3-7の会 0210】
11月06日東京都美術館『フェルメール』展
『マリアとマルタの家のキリスト』『ディアナとニンフたち』『小路』『ワイングラスを持つ娘』
『リュートを調弦する女』『ヴァージナルの前に座る若い女』『手紙を書く婦人と召使い』‥8・9・10・11・12・13・(14=重複)
http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/26-021026351106.html ←此処をclickして下さい
2007年12月 05日付【時習26回3-7の会 0139(3-3(完))】
12月05日:国立新美術館「フェルメール・『牛乳を注ぐ女とオランダ風俗画展』」
『ミルクを注ぐ女』‥14
http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/33_ebe9.html 此処をclickして下さい
日本人のフェルメール好きは多く、来日して小生が見た作品だけでも以下の通りある。
重複した作品を除くと、過去に14点、今回4点、累計18点見ている。
従って小生、日本に居乍らにしてフェルメール全作品三十数点のうちのほぼ半分を見ている。
こういう名作を海外の著名美術館から借りて来られる日本のいう国の国力というか、民力というか、素晴らしさと底力を改めて感じた次第である。
では、また‥〔了〕
*