■皆さん、お変わりありませんか? 今泉悟です
. 今日も【時習26回3−7の会 0879】号をお届けします
. 今日最初の話題は、松尾芭蕉(1644-94)「俳諧七部集『あら野』から〔第97回/員外~第963句~974句〕」をご紹介する
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963 酒(さけ)熟(くさ)さ(注1)耳(みみ)につきたるさゝめごと(注2) 仝
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【意】火傷(やけど)の結果、此の顔であの人に会うのは辛い / そう思って背(そむ)けている耳許に、男は酒機嫌でくどき寄る
【解釈】《初裏七》《雑》《恋》:ささめごと /
(注1)酒熱(さけくさ)さ:越人の自筆本には「サカクサキ」と傍訓ありという(標注七部集)/「熱(くさ)さ」は「熱(くさ)き」の誤植か?
(注2)ささめごと:小声のささやき、男女のむつごと
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964 魚(うを)をもつらぬ月(つき)の江(え)の舟(ふね) 人
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【意】月の美しい入江に魚を釣るでもない舟が一艘 / 酒の匂いと共に謡の声が川風と共に流れて来る
【解釈】《初裏八》《秋》:月
/ 前句を白楽天『琵琶行』の第12句「酒ヲ添へ灯ヲ回(メグラ)シテ重ネテ宴ヲ開ク」、第24句「小弦ハ切切トシテ私語(ササメゴト)ノ如シ」の景と見て、同じく第38句「唯江心秋月ノ白キを見ル」の景を付けた
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965 そめいろ(注1)の富士(ふじ)は浅黄(あさぎ)(注2)に秋(あき)のくれ 仝
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【意】秋の夕暮れの富士が浅葱色に染まり聳えている / 其の絶景に漁師は釣を忘れ見とれている
【解釈】《初裏九》《秋》:秋のくれ /
(注1)そめいろ(蘇迷盧):須弥(=彌)山((しゅみせん)=古代インドの世界観の中で中心で、大海に聳(そび)える高山)のこと
(注2)浅黄(あさぎ):浅葱(あさぎ)色(=ごく薄い藍色)
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966 花(はな)とさしたる草(くさ)の一瓶(ひとかめ) 角
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【意】秋の七草を大瓶いっぱい生けて床の間の生花とする / 窓の外には(前句の)雄大な富士が聳えて見える /「北は黄に南は青く東白 西くれなゐにそめいろの山」(謡曲・歌占)と言う俗伝古歌は立花の心得の歌ともされたので、此の付句があるという(幸田露伴『評釈』)
【解釈】《初裏十》《秋》:花とさしたる草 /
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967 饅頭(まんぢゆう)をうれしさ袖(そで)に(注1)包(つつ)みける 仝
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【意】饅頭を貰った幼子は、嬉しさを胸に、其の饅頭を袖にそっと入れる
【解釈】《初裏十一》《雑》/ 前句を幼子の真似事の立花として、同じ幼児の振る舞いを付けた
(注1)うれしさ袖に:「うれしさを昔は袖に包みけり 今宵は身にも余りぬるかな」(新勅撰集)等に拠る
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968 うき世(よ)につけて死(し)ぬ人(ひと)は損(そん) 人
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【意】何事につけても、兎角此の世は生きているがましだ、死んだら損だ
【解釈】《初裏十二》《雑》/ 供養の帰途、饅頭を袖に、儚い感想を述べ合う
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969 西王母(せいわうぼ)(注1)東方朔(とうばうさく)(注2)も目(め)には見(み)ず 仝
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【意】長寿を誇ったという西王母・東方朔も今は亡い
/ 現世が全てだ / 生きている間を存分に生きなければ‥
【解釈】《名残表一》《雑》/
(注1)西王母(せいおうぼ):中国の神話上の女神
/ 玉山または崑崙(こんろん)山に住む、人面・虎歯・豹尾の女神
/ のち、神仙思想の発展とともに仙女化され、周の穆(ぼく)王が西に巡狩した時、瑶池で宴を開き、漢の武帝に降臨して仙桃を与えたという
/ 道教の成立後は東王父と一組の神格とされた〔『大辞林』〕
(注2)東方朔(とうほうさく(前 154 頃-前 93 頃)):中国、前漢の文人 / 字(あざな)は曼倩(まんせん) / 武帝の側近として仕えた / 奇言・奇行で知られ、後世、仙人的存在とされ、西王母の植えた桃の実を盗んで食べ八千年の寿命を得たなど種々の説話が残る
/「答客難」「非有先生論」等の文章がある〔『大辞林』〕
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970 よしや鸚鵡(あうむ)の舌(した)のみじかき 角
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【意】何が「西王母・東方朔」だ! 彼等を見たことがあるのか?!「糞食らえ」だ / お前なんか、人の口真似しか出来ぬ鸚鵡(オウム)の、おまけに舌が短く足りない奴だ!
【解釈】《名残表二》《雑》/
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971 あぢなきや戸(と)にはさまるゝ衣(きぬ)の妻(つま)(注1) 仝
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【意】困った!
衣(=着物)の端が戸に挟まって身動きが取れない / やばい、鸚鵡が見ている
/ 鸚鵡の奴め、此の密事を誰かに喋らないだろうか?
【解釈】《名残表三》《雑》《恋》:衣(きぬ)の妻 /
(注1)衣(きぬ)の妻(つま):着物の端
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972 戀(こひ)の親(おや)とも逢(あ)ふ夜(よ)たのまん 人
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【意】どうか窮状をお助け下さい / もし願いが成就してあの女と逢うことが出来たら、あなたを恋の親としてご恩はわすれませぬ
【解釈】《名残表四》《雑》《恋》:戀の親・逢ふ夜 /
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973 やゝおもひ寐(ね)もしねられずうち臥(ふし)て 仝
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【意】そんなことを思って臥していると、なかなか寝つかれないで恋に身を焦がしていることだ
【解釈】《名残表五》《雑》《恋》:おもひ /
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974 米(こめ)つく音(おと)は師走(しはす)なりけり 角
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【意】眠られずにいると何処からとも無く餅つきの音がしてくる
/ そういえば今日はもう年の瀬近く
【解釈】《名残表六》《冬》:師走 / 前句の心配事を歳暮近い頃の越年対策に転じた恋離れの句
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【小生
comment】
. 次回は、俳諧七部集『あら野』から〔第98回 / 員外~第975句~986句〕をご紹介する
/ お楽しみに!
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■続いては、「09月15日:「豊田市美術館『モンドリアン』展」→「古川美術館『印象派とエコール・ド・パリ』展」→「らあめん専門店『陣屋』〔昼食〕」を巡ってについてである
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. 09月15日(水)は、平日一回の公休日
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「家に居ては勿体ない」と思い、今日は月一回の歯科健診の日で、14時00分に名古屋市東区のN歯科医院へ行くついでに、「豊田市美術館『モンドリアン』展」「古川美術館『印象派とエコール・ド・パリ』展」「らあめん専門店『陣屋』〔昼食〕」と巡って来た模様についてお伝えする
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05時00分 起床
腹筋2,000回
06時00分 2.5kg木刀素振り60分
07時05分 入浴→朝食
08時20分 拙宅発→一般道 1時間39分 52km→
09時59分「七州城隅櫓」着
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【七州城隅櫓】
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[01][左上]「七州城隅櫓」を back に1
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[右上]「同」を back に2
[左下]「同」「七州城隅櫓再建之碑」にて
[右下]「同」を back に3
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【「豊田市美術館」前にて】
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. 20世紀を代表する画家の一人 Piet Mondrian(1872-1944)
. 彼の作品と言えば、垂直水平の線と三原色、無彩色で描かれた《Composition》series は、絵画史の転換点として、画家の誕生から150年を迎える現在も重要であり続けている〔主催者「挨拶」より引用〕
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. Mondrian は、世界の絵画史に於いて、ピカソに匹敵する程、大きな画期を創り出した画家と言っていい
. 彼の《Composition》series は、絵画の3要素「色(Color)・構図(Composition)・デッサン(Dessin)」のうち、「色」「構図」が simple 且つ 鮮やかで素晴らしく、不思議な「癒し」を与えてくれるのだ
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[02][左上]「豊田市美術館」を back に1
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[右上]「同」同上2
[左下]「同」同所前『モンドリアン~純粋な絵画をもとめて~』展
看板前にて1
[右下]「同」同上2
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【豊田市美術館『モンドリアン』展】
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[03][左上]「豊田市美術館」外観
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[右上]豊田市美術館『Piet Mondrian(蘭)』展
leaflet[表][裏]
[左下]Piet
Mondrian『ドンブルグの教会塔』1911年〔デン・ハーグ美術館 Collection〕
[右下]同『色面の楕円 composition 2』1914年〔同〕
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[04][左上]Piet
Mondrian『2本のオランダカイウ』1918年〔デン・ハーグ美術館 Collection〕
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[右上]同『赤、青、黒、黄、灰色の composition』1921年〔同〕
[左下]同『大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のcomposition〔部分〕』1921年〔同〕
[右下]同『線と色の compositionⅢ』1937年〔同〕
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【豊田市美術館『常設展』】
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[05][左上]Gustav
Klimt(1862-1918)『オイゲニア・プリマフェージの肖像(Portrait of Eugenia
Primavesi)』1913/14年
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[右上]中村彝(1887-1924)『生物』1917年頃
[左下]梅原龍三郎(1888-1986)『少女アニーン(Portrait of Annine)』1908年
[右下]国吉康雄(1889-1953)『花飾りをつけた女』1932年
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[06][左上]佐分
眞(1898-1936)『婦人像』1927年
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[右上]熊谷守一『高原の秋』1935年頃
[左下]岸田劉生(1891-1929)『代々木附近』1915年
[右下]同(同)『自画像』1913年
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10時57分 豊田市美術館駐車場発→一般道58分 24km/76km→
11時55分 古川美術館着
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【古川美術館『印象派とエコール・ド・パリ』展】
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[07][左上]古川美術館『印象派とエコール・ド・パリ』展
看板前にて
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[右上]同館内入口『同』&
為三郎記念館『横井照子』展 看板前にて
[左下]同『同』leaflet
[右下]古川美術館『同』出品一覧
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【古川美術館『印象派とエコール・ド・パリ』展→為三郎記念館『横井照子』展】
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[08][左上]ウィリアム・ターナー(1775-1851)『Fonthill に建設中のゴシック様式の修道院(午後)の眺め』1800年頃
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[右上]アンリ・ジュアン・ルソー(1844-1910)『アフリカ雄ライオンと雌ライオンのいる南国の小路』制作年不詳
[左下]フィンセント・ファン・ゴッホ『ボートの浮かぶセーヌ川』1887年
[右下]クロード・モネ(1840-1926)『霧の中の太陽』1904年
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【為三郎記念館『横井照子』展】
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[09][左上]「為三郎記念館」入口にて
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[右上]為三郎記念館『横井照子』展 leaflet
[左下]横井照子 Profile
[右下]同『Teruko Yokoi, January, 1958, oil on canvas』
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[10][上]横井照子(1924-2020)『水連』1994年〔横井照子ひなげし美術館〕
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[左下]同『同』同所にて
[中下]同『ひなげし-B』1991年〔横井照子ひなげし美術館〕
[右下]同『同』同
同所にて
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. 此の『睡蓮』と『ひなげし-B』については撮影OKと言う粋な計らいだったので喜んで撮影させて頂いた
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[11][左上]横井照子『ひなげし-B』1991年〔横井照子ひなげし美術館〕
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[右上]同『《幸せ》4連作のうち』1994年
[左下]同『栗』2002年
[右下]同『三番』2004年
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12時52分「古川美術館」発→一般道14分 4km/80km→
13時06分「らあめん専門店『陣屋』」着
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【らあめん専門店『陣屋』〔昼食〕】
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[12][左上]らあめん専門店『陣屋』入口にて
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[右上]同「小生の超定番『味噌チャーシュー麵』」
[左下]同「『味噌チャーシュー麵』を食する小生」
[右下]オズモールの Monument 傍らにて
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13時40分 オズモール Monument 発→一般道5分
1.5km/82km→
13時45分 N歯科医院着
14時47分 N歯科医院発→一般道1時間55分 82㎞/164km
16時42分 帰宅〔了〕
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【小生 comment】
. 豊田市美術館『モンドリアン~純粋な絵画をもとめて~』展と古川美術館『印象派とエコール・ド・パリ』展のいずれも素晴らしい絵画展だった
. Mondrian(1872-1944)の存在感ある、色彩とComposition の絶妙な balance は、不思議な「癒し」を見る者に与えてくれる
. 因みに豊田市美術館は、常設展コーナーはじめ2〜3階は全て撮影OKだったのは嬉しかった
/ 粋な計らいである
. 又、古川美術館『印象派とエコール・ド・パリ』展は、展示作品が全て個人蔵という貴重な絵画群
. 更に又、横井照子の作品も、日本人が持つ温かさに抽象画がコラボした様な傑作選の展覧会
. 今日は、一日で3つの美術展覧会を見ることが出来た充実した一日だった〔了〕
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◼️今日最後は、09月19日(日) 浜松市秋野不矩美術館『第3回所蔵品展/ゼロ発祥の地インドlll〜煌めく光線〜』についてである
. 其の日は、14時00分〜14時45分迄仕事があった
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06時00分 起床→腹筋2,000回→
07時00分 2.5kg木刀素振り60分→
08時10分 入浴
12時00分 brunch
13時00分 拙宅発→一般道 20分 9km→
13時25分 勤務先着
14時00分 勤務
14時50分 勤務先発→一般道 1時間10分 60km/69km→
16時00分 浜松市秋野不矩美術館着
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【浜松市秋野不矩美術館『第3回所蔵品展/ゼロ発祥の地インドlll〜煌めく光線〜』】
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[13][左上]浜松市秋野不矩美術館駐車場入口にて
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[右上]同美術館を back に1
[左下]同上2
[右下]同美術館『2021年度 所蔵品展 作品目録』
. 同作品目録の絵は、今回&次回(第3&4回)秋野不矩『ガンガー』1999年
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[14][左上]秋野不矩 (ふく)(1908-2001)『平原』1964年
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[右上]同『土の家(A)』1987年
[左下]同『ヴァラーハ(ヴィシヌ化身 猪)』1992年
[右下]同『民家(ブバネシュワール オールドタウンA)』1993年
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16時28分 浜松市秋野不矩美術館発→ 一般道 1時間17分 49km →
17時45分 帰宅 / 走行距離計 118km〔了〕
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【小生 comment 】
. 昭和12年に始まった文化勲章
. 画家の第1回受賞者は、日本画の日本美術院の雄 横山大観(1868.11.02-1958.02.26)、京都画壇の最高峰 竹内栖鳳(1864.12.20-1942.08.23)、洋画家の藤島武二(1867.10.15-1943.03.19)、岡田三郎助(1869.01.22-1939.09.23)と言う錚々たる4人
. 日本の女性画家で文化勲章を受賞しているのは、まだ此等の(1)上村松園(1875.04.23-1949.08.27)、(2)小倉遊亀(1895.03.01-2000.07.23)、(3)片岡球子(1905.01.05-2008.01.16)、(4)秋野不矩(ふく)(1908.07.25-2001.10.11)の4人しかいない
. 小生、秋野不矩の日本画とインドを舞台にした作品群は、何度見ても癒されるから不思議に感じつつ、企画展の都度、彼女の絵を見ることを楽しみにしている
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【後記1】09月08日、長男が、彼の次男の数え3歳になったので今秋七五三と言うことで記念写真をLINEで送って来てくれた
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[15][左上][右上][左下]長男の次男の七五三の晴れ姿
[右下]長男の長女と長男の三男
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【後記2】日本の全人口に占める65歳以上の高齢者の比率が、29.1%と2位のイタリア23.6 %を大幅に上回って世界一位!
. 又、高齢者の就業率は、25.1%と初めて「4人に1人」に達したと、総務省が今日9月20日の敬老の日に合わせ、高齢者の人口推計を公表した〔2021年9月20日付日本経済新聞朝刊〕
. かく言う、小生も全人口の29.1%を構成する高齢者!
. 又、身体が言う事を聞く小生、高齢者の就業率25.1%の構成員でもある
. 健康で元気に働けるうちは働いて、PPK(ピン・ピン・コロリ!)と行きたいものだネッ!〔了〕
.
. では、また‥〔了〕
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